ハニー、俺の隣に戻っておいで
ジョンが決断を下したとあれば後は成り行きに任せる他はなく、 シャン家を救うことは誰にもできないだろう。

「どうすればいいの? ああ、どうしよう?」 イザベラは泣き言を言いながら弱々しく地面に倒れ込んだが、 あまりに激しく泣いたせいで顔は涙に覆われ、目は腫れ上がり真っ赤になっていた。

「地べたに座ると寒いわよ。 ほら、立って」

ニーナはそう言うとイザベラに手を貸そうとしてしゃがみ込んだが、イザベラは何か思いついたらしく再び瞳をキラリと輝かせる。

そして、ニーナの手をしっかりと握ると顔を上げ、ニーナに懇願し始める。「ニーナ、私のこと助けてくれるわよね? あなた、ジェームズに恋しているんでしょ? だったら、シーさんは あなたにとっても叔父さんだし、親戚みたいなものでしょう? お願い、シーさん の所に行って、私のことを許してもらってくれない? お願いよ、もう私の家族を許して。 ニーナ、お願いだから」

ニーナはイライラして眉を顰める。 イザベラの言うことを聞くと、心が冷え切ってしまったのだ。 どうして何年も一緒にいたのに、イザベラがこんな下品な人間だと今まで気がつかなかったのだろう?

ニーナはいきなり手を引っ込めると、「イザベラ、何言ってるの? ジェームズはただの友達よ。 彼が私のお願いを聞いてくれるとは限らないし、彼の叔父さんジョンが相手じゃあますます無理よ」と冷たく言い放った。

「ただの友達なの?」 イザベラは信じられないという様子で息を呑む。 彼女はニーナのことを全く信じておらず、真っ赤な嘘をついていると思い込んでいるのだ。 そして、必死に「私を助けたくないから、そんなこと言うの? みんな、あなたがジェームズに恋してるって言ってるのよ」
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