政略結婚のはずですが？～極甘御曹司のマイフェアレディ計画～
集中していたので、そんな時間になっているなんて気づかなかった。
二日ぶりに会えるのに、夕食を作っていないなんて。

「凄い量だな、店でも開くのか？」

私の周りに広がるエコたわしを見て、零士さんが苦笑いを浮かべる。

「あー……」

これは確かに、作りすぎだ。
どうしよう……？

「なにかあったのか？」

傍らの椅子に座り、零士さんが腕を広げる。
素直にその中に入り、膝の上に抱き抱えられた。

「古手川さんが殺されるかもしれなくて……」

「ちょっと待て。
いきなり突飛な話だな」

彼は戸惑っているが、まあそうだよね。

「その。
古手川さん、悪い人に騙されて私を離婚させられなければすぐにお金を返せ、って脅されていて」

「それもかなり突飛な話だな。
なんで俺と清華の離婚が、条件なんだ？」

不思議そうに零士さんが私の顔をのぞき込む。

「それは……なんででしょう？」

今までは頭がかっかしていたから気づかなかったが、改めて問われると引っかかった。
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