政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「まあ、それは今は置いておこう。
で、なんで金を返せないと殺されるんだ?」

「お金を借りたのが、なんかヤバい人だったみたいで……」

それもまた、引っかかった。
古手川さんほどの人なら、そんな人からお金を借りたりしないはず。

「でもなんでそんな人から借りたんでしょうか?」

「それはな。
そういう人間は人の弱みにつけ込むのが上手いのと、最初は善人面して近づいてくるんだ」

丁寧に零士さんが説明してくれる。

「だから……」

ズルい。
そんな人、絶対に許せない。

「それで。
清華はその古手川を助けたいんだな?」

レンズの向こうから零士さんが私を真っ直ぐに見つめる。
零士さんはあの写真を見ているのだ。
私を陥れようとした人間を助けたいだなんて、甘いと言われるだろうか。
それとも……いい気味?

じっと零士さんの目を見て問う。
あなたはあれを見てなにを考えているんですか?
零士さんはきっと、私を信じてくれているはず。
私にあんな行為をした古手川さんを憎んでいても、死ねばいいとは思っていないはず。
私は――零士さんを信じる。
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