政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
突然、私から両頬を叩かれ、彼は眼鏡の下で目を丸くした。

「私の力でできることは自分でやります。
無理なときは今日みたいに頼りますから、そのときはお願いします。
私を……見くびらないで」

ギッと思いっきり零士さんを睨み上げる。
きっとこんなの、彼には効かないだろうけれど、私の意思が少しでも伝わればいい。

「そうだったな」

くつくつと面白そうに零士さんが笑う。

「俺の惚れた清華は、そういう女だった」

両手で私の頬に触れ、零士さんは私と額をつけた。

「見くびっていたわけではない、俺が清華のためになんだってしたいだけだ。
それが……過度な甘やかしになっていたんだな」

眼鏡の上の隙間から、零士さんが私をうかがっている。

「これからは気をつける。
……許して、くれるか」

そんな……怒られた子犬みたいな目で見られたら、許すしかないじゃない。

「わかってくれたんならいいです」

せっかくのこの距離なので、自分から唇を彼の唇に触れさせる。

「えっ、あっ、清華!?」

「これで仲直りです」

零士さんを真似て、右の頬を歪めて笑う。
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