政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「……はい。
大事されて、幸せです」

精一杯の私の気持ちで、笑顔で答えた。

車まで古手川さんが送ってくれる。

「本当は自分の気持ちは鴇田に伝えないつもりだったんだ」

隣を歩く古手川さんは、憑きものでも落ちたかのように晴れ晴れとした顔をしている。

「でもこれが、後ろ盾になる神鷹さんの条件だったから」

なんでそれが条件なのか私にはわからないが、古手川さんは納得しているようだ。

「神鷹さんと幸せにな。
僕にできることがあったら、なんでも言ってくれ」

「はい、ありがとうございます。
そのときはよろしくお願いします」

今日は笑顔で彼と別れる。
きっとなにかあっても、古手川さんを頼らないだろう。
もう彼とは元の関係には戻れない。
変わってしまった関係が、酷く淋しかった。

今日は零士さんが帰ってきた。

「古手川と会ってきたんだろ?」

私をソファーに導きながら、どことなくそわそわとしているのはなんでだろう……?

「はい、零士さんにお礼を言っておいてくれと言われました」

「他には?」
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