政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
他には、とは?
少し考えて口を開く。

「……好きだったと言われました」

「うん、それで?」

それで、とは?
零士さんは落ち着かずに私の返事を待っているが、なにを求められているかまったくわからない。

「えっと……?」

「うん、それならいいんだ」

なんだかわからないが零士さんがひとり、納得するという形でこの話は終わった。
本当になんだったんだろう?
あ、これが条件とやらになにか関係している?

「私に気持ちを伝えるのが後ろ盾になる条件って、なんでですか?」

「えっ、……うん」

私から視線を逸らした零士さんは、眼鏡の奥で目をきょときょと忙しなく動かしている。

「その、……ちょっとした嫌がらせ?」

ちらっと零士さんが、私の反応をうかがう。

「アイツが俺の清華に手を出したせいで、俺がどんな思いをしたと思う?
これくらい嫌がらせしてもいいだろ」

零士さんは拗ねているようだが、私にはやはりこれがどうして嫌がらせになるのかわからない。
しかし。
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