政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
……だよね。
零士さんの動きに視線が着いていく。
私もスーツ姿の零士さんは見慣れたが、今日の零士さんは着物姿。
私でも目のやり場に困るくらいだから、他の人はさらにだろう。
「零士さん、おひさしぶりです」
人並みが割れ、そこから鞠子さんが零士さんの前に出てきた。
「ひさしぶりですね、鞠子さん。
いつも私の妻と仲良くしてくださっているみたいで、ありがとうございます」
「仲良くだなんて、そんな……」
零士さんがにっこりと笑い、鞠子さんはぽっと顔を赤らめる。
しかしあれは完全に営業スマイルだ。
「これからもよろしくお願いしますね。
皆さんも」
これ以上ない笑顔で零士さんが周囲に微笑みかける。
さすがに黄色い声こそ上がらなかったが、それでも額に手の甲を当て、よろめいている人はいた。
今日のお稽古は零士さんのおかげで、落ち着きがなかった。
アイドルが現れたようなものだから、そうなるのも仕方ない。
「私が零士さんとご一緒に」
「あなたの家格で零士さんとご一緒できるとでも?
私が」
繰り広げられる争奪戦を、呆れてみていた。
お義母さまは笑っているが、それしかできないのだろう。
単純に零士さんの取り合いならまだ微笑ましく見られるが、家や社会的地位とかで競うなんて私は理解したくない。
零士さんの動きに視線が着いていく。
私もスーツ姿の零士さんは見慣れたが、今日の零士さんは着物姿。
私でも目のやり場に困るくらいだから、他の人はさらにだろう。
「零士さん、おひさしぶりです」
人並みが割れ、そこから鞠子さんが零士さんの前に出てきた。
「ひさしぶりですね、鞠子さん。
いつも私の妻と仲良くしてくださっているみたいで、ありがとうございます」
「仲良くだなんて、そんな……」
零士さんがにっこりと笑い、鞠子さんはぽっと顔を赤らめる。
しかしあれは完全に営業スマイルだ。
「これからもよろしくお願いしますね。
皆さんも」
これ以上ない笑顔で零士さんが周囲に微笑みかける。
さすがに黄色い声こそ上がらなかったが、それでも額に手の甲を当て、よろめいている人はいた。
今日のお稽古は零士さんのおかげで、落ち着きがなかった。
アイドルが現れたようなものだから、そうなるのも仕方ない。
「私が零士さんとご一緒に」
「あなたの家格で零士さんとご一緒できるとでも?
私が」
繰り広げられる争奪戦を、呆れてみていた。
お義母さまは笑っているが、それしかできないのだろう。
単純に零士さんの取り合いならまだ微笑ましく見られるが、家や社会的地位とかで競うなんて私は理解したくない。