政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
「えっ、あの!」

父と母が揃って頭を下げる。
戸惑う私を無視して零士さんは半ば無理矢理立たせ、部屋を出た。

「あの、新婚旅行って……」

どんどん歩いていく零士さんに手を引かれながら尋ねる。

「結婚したんだから新婚旅行に行くのが当たり前だろ」

彼はなぜ聞かれるのかわからないといった顔をしているが、まさかお見合いに来たはずが結婚になるだなんて私の方こそ想定していませんでしたが?

「どこへ行くんですか?
準備は?」

「パリ一週間。
準備はなにもしなくていい。
必要なものは全部、買ってやる」

振り返った彼は爽やかに笑っているが、これはいわゆる営業スマイルというヤツだ。

「……私との結婚は、不本意ですか」

その笑顔を見ていたらつい、口から出ていた。
零士さんの顔から笑みが消え、しまったと気づいたがもう遅い。

「あの、その」

「別に不満はない。
俺たちの結婚とはそういうものだろ」

なんとか取り繕おうと言葉を探していたら、真顔になった彼から見下ろされた。

「……はい、そうですね」
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