政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
瞬間、零士さんの唇が重なる。
彼に溺れ、――そして。

「この先はまだおあずけだ」

毎回、なぜかここでストップ。
私のハジメテをもらう日は決めているらしい。
そのわりにはよくマーキング――キスマークをつけたがるが、あそこまでして零士さんはつらくないのかな……?
私は毎回、悶々としているんだけれど。



結婚式の日まで、ひたすらドレスとブランド試作服を作る。
寝る間も惜しむと零士さんから怒られるのでそれはちゃんと寝たが。
それ以外にもお稽古にお茶会や華展、さらにブライダルエステと、めまぐるしく過ごした。

あと、気になるニュースがふたつ。
久礼大臣――鞠子さんのお父さんの辞任と、土蜘蛛組の解散。
どっちも今回の件のせいじゃないのかと思ったけれど、零士さんは教えてくれなかった。

「俺はなにもしてないぞ」

そう言う零士さんは質問を拒否している。
秘密にされるのは嫌だが、どうしても私に話したくない事情があるのなら、聞かない。
私は、零士さんを信じる。



――そして、今日。
とうとう、結婚式当日を迎える。

「綺麗だ、清華」
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