今さら好きだと言いだせない
 前に来たときには静かな雰囲気だったカフェも、今日と明日は世間に習ってクリスマスの様相みたいだ。
 レジカウンターの横には私の身長と同じくらいのツリーが飾られているし、店内の照明もキラキラしている。

 今日はほかの客も多く、ここで落ち着いて話が出来るだろうかと辺りを見回しながらも、窓際の席に陣取る。
 程なくして注文したロイヤルミルクティーが来て、私はそれを飲みつつホッコリとして芹沢くんを待っていた。

 いつ連絡が来てもわかるようにテーブルの上にはスマホを置いていたが、メッセージなどの着信はない。
 
 窓越しに街ゆく人をボーッと眺めていると、みんな寒そうにコートの襟を立て、マフラーに顔をうずめて歩いている。
 今日は風も強めだし気温も低い。だけどカップルは肩を寄せ合っていて幸せそうだ。

 もうそろそろ芹沢くんもやって来る頃合いかなと考えていたときだった。
 カフェがある建物から道路を挟んだ向こう側に、彼の姿が見えた。芹沢くんは高身長だし、カッコいいからすぐわかる。

 一瞬笑顔になったけれど、私はすぐに顔を引きつらせることになった。
 彼はひとりではなく誰かと話をしていて、よく見るとその相手が佐武さんだったからだ。

 私との話し合いを短時間で切り上げて、そのあと彼女とデートするのだろうか。
 少しだけどこかで待っていて、と佐武さんに伝えているのかもしれないと考えたら、胸が締め付けられるように苦しくなった。

 だけどなかなか芹沢くんがこちらに来てくれない。寒い中、ふたりは立ち話をしたままだ。

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