今さら好きだと言いだせない
 私はどうするべきなのか、正解がわからない。
 でも、このままなにもなかったように偽装カップルを簡単に解消して芹沢くんとお別れするのは、自分の気持ちとは反する。
 今日は彼に体当たりで挑む覚悟を決めて来たはずだと自分を鼓舞した。
 ここでがんばらなければ、後悔だけが残ってしまう。
 私はあわてて自分のコートとマフラーを掴み、バッグを肩にかけつつ会計を済ませたあと外へ飛び出した。

「芹沢くん!!」

 未だに立ち話をしている彼に向かって、道路の反対側から大声で叫んだ。
 そして、車の往来が途切れた瞬間を狙って道路を渡る。

「こんな場所で渡るなよ! 危ないだろ」

 芹沢くんは私が道路に飛び出した様子にひどく驚いて駆け寄って来た。

「カフェで待っててくれたら、」
「じっとなんかしていられなかったの!」

 大きな声で彼の言葉を遮ったところで、佐武さんもゆっくりとこちらに歩いて来た。

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