今さら好きだと言いだせない
「いつからそんなふうに感じてたの?」
「あの人がうちの部に来てすぐのころから。仕事にかこつけて、わざとらしく町宮に絡みに行ってたから」

 眉間にシワを寄せる芹沢くんを見つめつつ、そうだったかな? と記憶をたどるけれど特に心当たりはない。

「前から忠告したかったんだ。高木さんは女癖が悪いから気をつけろよ」
「女癖ねぇ……その可能性はあるよね」
「いや、実際相当遊んでる」

 会社ではいつも澄ました顔をして高木さんと仕事をしている芹沢くんなのに、お酒のせいで本音が漏れたのだろう。思わずアハハと笑ってしまう。
 だが彼は至極真面目に言っていたようで、眉根を寄せたままジョッキのビールを飲み干した。

 芹沢くんはけっこうな量を飲んでいるのに酔った様子は見られない。
 忘年会などの席で一緒に飲む機会は今まであったけれど、こんなに酒豪だったのかとあらためて思い知らされた。

「芹沢くんはお酒が強いね。たくさん飲んでも酔わないの?」
「酔わない」
「言い切った! カッコいい!」

 思わず黄色い声を上げると、彼は枝豆に伸ばしていた手をピタリと止めた。

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