今さら好きだと言いだせない
 ミーティングだのなんだのと仕事にかこつけて町宮に絡む徳永さんは、もしかしたら基本的には高木さんと変わらないのかもしれないなんて、俺はそんな失礼な考えまで浮かぶようになった。

 高木さんと違うのは、圧倒的にイケメンなところだ。なので、自然に町宮のほうから惹かれてしまう可能性もある。
 なぜ俺はのんびり構えていたのだろう。とりあえずなんでもいいから彼女との距離を少しでも詰めなければと、ようやく焦る気持ちが芽生えた。

 仕事の延長だと言わんばかりに、町宮を菓子博に誘った直後だった。
 彼女が徳永さんのネクタイに手をかけ、ていねいに形を整えて直している場面を目にした。
 町宮はネクタイに集中しているので気づいていないようだが、そのときの徳永さんの顔が……
 男の俺から見ても、今ので落ちただろ、と言いたくなるような恍惚とした表情だった。

 ふたりはいつの間にこんなに親密になっているんだ。これはかなりヤバい。
 徳永さんが本格的に町宮を口説きにかかる前に、俺も動かなければと菓子博に行く日は気合いを入れた。
 
 俺としてはデートのつもりだが、仕事関係の人間に会うかもしれないのでスーツで向かう。
 町宮はいつもと変わらない服装だろうと予想していたのに、会社で見るのとは違っていてかわいかった。

 正直な感想を言葉にすれば、彼女が照れて頬を赤く染める。そして、お返しとばかりに俺のことも褒めた。

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