今さら好きだと言いだせない
「だって芹沢くんはカッコいいから。いつもだけど、今日はそれ以上に!」

 そう、町宮は褒めるんだ。お世辞なのかもしれないが、好きな女からカッコいいと言われれば、彼女の赤い顔が俺にも移りそうになる。

「ようやく俺の良さがわかったか」
「え、前から知ってるよ!」

 冗談で返したのに、追い打ちをかけられた。
 町宮のこういうかわいい部分を知ったら男はみんなイチコロだろう。
 これを天然で無意識に誰にでもされたら、心配でたまらない。
 わかりやすく高木さんに接近されていても本人は全然気づいていないようだし、無防備すぎてそこも怖い。

 菓子博の帰りに町宮を食事に誘った。俺にとってはこっちがメインだ。
 女性好みの店を見つけて入ろうとしたのに、彼女は普通の居酒屋に俺を引っ張って行く。
 意外な一面を見た気がした。雰囲気の良い店に興味がないのだろうか。

 俺は体質的に酒に酔いにくい。いつもの調子でビールを飲んでいたら、町宮がそれにつれられしまったのか飲むピッチが速かったようで、酔って顔どころか首まで紅潮していた。目がとろんとしていて、色気が漏れ出ている。
 俺がもっとペースを合わせればよかったと反省したが後の祭りだ。

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