あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
「……あれ?そういえば遥、どこ行った?」

左右を見渡した。

せっかく二人で来たのに、遥の存在なんて忘れて、四つ葉のクローバーを探すことに夢中になっていた。


「奈央」

遥の声がして後ろを振り返る。

「あっ遥。……あっ!もしかして、私より先に四つ葉のクローバー見つけちゃった?」

両手を後ろにして、なにかを隠すように一歩一歩私との距離をつめた。


近づいた遥は、私の一歩手前で立ち止まってにっこり笑った。

「……なに?その笑顔は」


「はい、お姫様」

私の頭の上に、ふわりとなにかが乗せられる。

「えっ?」

私は慌てて頭の上のものを両手で触れた。

「これって……」

「シロツメクサの花かんむり。昔よく作ったの、覚えてない?」

アルバムで見た写真と同じことが、今この瞬間に起こっている。

ずっと昔ことだけど、頭に乗せられたときのあの感覚を思い出した。


あぁ、なんか泣きそうだ。こみ上げてくるものがあった。

「……覚えてないわけ、ないじゃん」

「まぁ正確に言うと、俺が作りたかったわけじゃなくて、奈央に作らされてたんだけどね」

遥が昔のことを色々と覚えていてくれたのが、涙が出そうなくらい嬉しかった。

私ばっかり覚えてるものだと思ってたから。

「よくできたから、奈央にそれやる」

ちょっと上から目線でものを言うところも、変わってない。

「俺が作り方覚えてたのに感謝しろよ」

……もう、四葉のクローバーなんてどうでもよくなった。

そんなものなくても、今この瞬間、とてつもない幸せが私に訪れたから。
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