あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
この際だから聞いてみた。

「ねぇ遥。幼稚園ぐらいのとき、私がここで遥にプロポーズしたの覚えてる?」

遥は少し考え込んでから答えた。

「そんなことあったっけ?」

「……さすがに覚えてないよね」

期待を込めて聞いてみたけど、残念な結果に肩を落とした。

「幼稚園児がプロポーズって、奈央、ずいぶんとませたガキだったんだな」

「ほんと、今の私からは考えられないよね」

「あのときの素直であどけない奈央はどこいったんだろうなー?」

……もう、すぐ痛いとこついてくるんだから。

「あのねぇ、遥だって人のこと言えないからね。あの頃の倍以上は意地悪になった。ついでに言うと、口も悪くなったからね」

「いや、それはない。俺は奈央と違ってひねくれもせずにまっすぐ成長したからね」

ああ言えばこう言うんだから。

「どうせ、私は遥と違ってひねくれ者ですよ」

「嘘だよ。うそうそ。すぐ本気にすんなって」

あのとき、遥がどう答えたのか気になってたんだけどな。

……このまま永遠に迷宮入りか。

ちょっと残念だけど、記憶にないことをどうこう言っても仕方がない。
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