アンドロイド・ニューワールド
そして私は、人間の気持ちを理解する為に、ここに来ました。

従って私も、クラスメイトに習って。

そっぽを向いておこうと思ったのですが。

「お、そうだ。今日からこのクラス、転入生がいるんだったな」

と、数学教師は言いました。

それはきっと、私のことですね。

「丁度良い。転入生の…えぇと、久露花さんだっけ?」

と、数学教師は聞きました。

完全に私のことですね。

何が丁度良いのか分かりませんが。

「前に出て、この問題解いてみて」

と、数学教師は言いました。

まさか、転入生という理由だけで、私を解答者に選ぶとは。

私が転入生であることと、この問題を解くことに、何の関係があるのでしょう。

全くもって理解不能ですが、指名されたものは仕方ないので、私は立ち上がりました。

真っ直ぐ黒板に向かい、数学教師から渡された、白いチョークを手にしました。

実は、黒板を見るのは初めてです。

これに爪を立てて音を鳴らすと、人間は不快な音として認識し、嫌悪するそうです。

知的好奇心の為に、ちょっとやってみたくなりましたが。

何故か、朝から若干下がりつつあって不安な、クラスメイトからの好感度を、これ以上下げない為にも。

今回はやめておくことにしました。

さて、気を取り直して。

この問題を解けば良いんでしたね。

私は文字式を見て、脳内にある演算処理システムにインプットしました。

すると、もののコンマ数秒足らずで、解答が弾き出されました。

答えは−4ですね。

私は、−4、とチョークで書きました。

しかし。

「…?」

数学教師は、何故かポカンとしていました。

私は、何かおかしなことでもしたのでしょうか。

出された問題の答えを書いただけですが。

「え、いや…。久露花さん、途中式は?」

と、数学教師は聞きました。

「私は正しく解答したはずですが」

「いや、うん。答えは合ってるけど…。途中式も書いてくれる?」

と、数学教師は言いました。

途中式?

問題を解くときに、最終的な答えに至るまでの過程を記せ、という依頼ですね。

しかし、実はそれは無理な相談です。
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