傾国の姫君
そんな言葉も、虚しく響く。

今はただこの家にいて、慶文と正英の影を追いたい。


それから、半年が過ぎた。

「よっと。」

私は育てた野菜を、籠に詰めると家を出た。

太陽が眩しい。

半年ぶりのお日様だった。

「心我。ようやく元気になったんだね。」

照葉さんも野菜を籠に入れていく。

「悪いね、照葉さん。野菜売りを手伝わせて。」

「何言ってるんだよ。家族を亡くした女が、ようやく一人で稼ごうって気になったんだ。力を貸さないでどうするんだよ。」

そう言って私を元気づけてくれた照葉さん。

「さあ、行くか。」

「うん!」

私は、一人で生きていく為に、野菜売りを始めた。

それには、隣の町まで行かなきゃいけないけれど、却ってその方がよかった。

この村では、まだ私は、王に無礼を働いた者の家族だったから。
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