傾国の姫君
そして踊り終わると、男はこっちを見た。

私は思わず、拍手をした。

「どうだった?」

「すごい美しかった。」

見惚れてしまうくらいに、舞は美しかった。

「この道場に昔から伝わる、剣の舞だ。」

「剣の舞?」

「だが、もうそれを舞えるのは、俺だけだけどな。」

その笑った顔が、自分に似ていると思った。


「一人って、家族は?」

「おまえと一緒だ。秦王に殺された。」

私は茫然と立ち尽くした。

「どうして?」

「分からん。俺がこの道場に帰って来た時には、家族は血を流して倒れていた。」

ふいに、慶文と正英の死体を思い出した。

「でもそれだけじゃ、秦王だって分からないじゃないか。」

「分かる。妻はその美しさ故、秦王の妃になれと言われていた。俺がいたから断っていたのを、堪忍袋の緒が切れたと言って殺したらしい。」

「可哀相に。子供は?」
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