傾国の姫君
男は、私から剣を手に取った。

「どうせ今日は、興味本位で来たのだろう。もし、本当に秦王を倒したいのであれば、荷物を持って来い。」

そして男は、背中を向けた。

「分かった。少し考えさせておくれ。」

「ああ、いいよ。」

そして私は、一度昇ってきた階段を降りた。

途中で振り返ってみると、頂上の道場は見えない。

きっと、誰にも秘密な場所なのだろう。

おもむろに背中を向け、私は元の町へ戻った。


すっかり暗くなった野菜売りの場所には、照葉さんが待っていてくれた。

「心我。心配したじゃないか。」

「ごめんなさい。」

野菜売りの籠を持って、私と照葉さんは帰路についた。

「どこに行ってたの?」

「ちょっと……」

まさか、怪しい道場に行ったなんて、照葉さんには言えない。

「ねえ、照葉さん。もし昇龍さんが殺されたら、照葉さんだったらどうする?」

「どうするって、相手を憎むね。憎んで憎んで、終いには殺してしまうかも。」

そう言って照葉さんは、ハッとした。

「だからと言って、心我はそんな事しちゃ、いけないよ。」
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