傾国の姫君
「どうして?」

「どうしてって、相手は秦王じゃないか。私達には、到底敵わない人だよ。」

「敵わない……か……」

そんな話をしていたら、いつの間にか、家に着いていた。

「はい、照葉さん。今日のお金。」

「ありがとうね。」

そして家に入ろうとすると、照葉さんは私の腕を掴んだ。

「滅多な事を、考えるんじゃないよ。」

私はにっこり笑った。

「大丈夫よ。」

照葉さんはほっとすると、自分の家に帰って行った。


私も家の中に入ると、食事の用意をした。

ドキドキする。

私が、この手で、夫と子供の仇を取る。

取れる?

いや、あの男に剣術を習えば、それもできるかもしれない。

私は、一杯水を飲み干した。

「慶文、正英。」

私は名前を呼ぶと、庭に出た。
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