傾国の姫君
何時間もかかって、私は階段を昇り切った。

そこには、あの男が立っていた。

「来たか。」

「ああ。」

私は、背負って来た荷物を置いて、一休みした。


「女、覚悟はついたか。」

「ついた。秦王をこの手で、殺してやる。」

「上々だ。」

そして男は、私の荷物を持つと、宿舎に案内してくれた。

「あいにく、男も女も、一つの部屋を使う。」

「ええ?」

私は、男をジーっと見た。

「……襲わないだろうね。」

「はぁっ!」

男は、鼻で笑った。

信じていいのか。


それよりも、肝心な事だ。

「本当に、秦王を殺せるんだろうね。」

男と私は、見つめ合った。
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