傾国の姫君
「はい!」

そしてまた階段を降りる。

正直言って、今の方が余計な事を考えずに済む。

野菜を売っている時もそうだけど、何かに没頭している時の方が、家族の事を考えずに済む。


時間も夕方になった頃、私は水酌みを終えた。

「よし!今から、舞を教えるぞ。」

「今から!?」

類は、私を道場に連れて来た。

もう、足がパンパンに腫れているんですけど。

「春には、3年に1度のお妃選定がある。それに心我が参加するんだ。」

「春までに?」

まだ時間はあるけれど、やった事もない舞、剣術を教わるには、足りないくらいだ。

「できるかね、私……」

「やらなきゃ、また3年後。おまえはもう若くはない。」

胸にズキッときた。

選ばれるのは、今回が最後って事か。

「分かったよ。やるよ。」

「その意気だ。」

そして道場で、まずは舞を教わる。
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