傾国の姫君
舞自体は、そんなに難しくはなかった。

初心者の私でも、覚えられるくらいの簡単さだった。

「いいな。おまえは、筋がいい。」

「そうかい?」

その言葉が嬉しかった。

「じゃあ、明日からは本番で踊る舞を教えるぞ。」

「はい!」

気分を良くした私は、何度も踊り続けた。

気が付くと、夜遅くまで踊っていたようで、道場で眠っていた。


「はっ!」

起き上がると、もう陽が昇り始めていた。

「早く、水酌みをしなければ。」

私は急いで、階段を降り、水酌みを始めた。

まともに寝ていなかったけれど、水酌みが早く終わらないと、また踊りの練習ができなくなる。

「はぁ!はぁ!」

大量の水を持って、階段を上がる。

1回じゃ満杯にならない。

2,3回は階段を昇り降りしないと。

そう考えて、何も考えずに、水酌みばかりをしていた。
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