傾国の姫君
慌てて取りに行くと、窓から類が風呂に入っているのが見えた。

この状態で、香油を取りに行ったら、変態だと思われるよね。

「どうしよう。」

それにしても、類の奴、武芸をやってるだけあって、いい筋肉の着き方をしているね。

「どうした?」

「えっ!」

急に風呂桶に入っている類が、こちらに話しかけた。

「いやね、忘れ物をしてしまって。」

「香油だろ。そこに置いてある。」

目をやると、風呂桶の近くだ。

それはおいそれと、取りにいけないだろ。

「悪いけれど、取ってくれない?」

「仕方ないな。」

風呂桶から出た類は、香油を取って、窓の側に来てくれた。

途端に、私はカーッと、顔が赤くなった。

「ほらよ。」

「ありがとう。」

手を伸ばした先には、類の逞しい肉体がある。

「俺も次期に、部屋へ戻る。」

「ああ。」

< 38 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop