傾国の姫君
「そうだね。」

あっさり認めると、花香はムッとした。

「どんな事を言っても、お妃になれなければ、出発点にも届かないって事よ。」

まだ若い皆に、本当の事を言うのは忍びないけれど、その通りだ。

お妃になるのは、単なる出発点。

恨みを晴らせるかは、その後だ。


その日の夕方。

陽が落ちる頃、馬車は中央に到着した。

「さあさあ。明日の為に、今日は養生するんだな。」

お妃候補の為に、私達は高級な宿を取って貰った。

部屋は、二人に一つ。

私は、花香と一緒の部屋だった。

「疲れたね。」

「そうですね。」

純粋な想いを、秦王に抱いているだけに、私には冷たい様子だった。

「一緒に、選ばれるといいね。」

そう言うと、花香は冷たい視線を私に送った。

「お姉さん、名前は?」

「心我だよ。」

「心我姉さんだけは、選ばれて欲しくないわ。」
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