若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
時間だけが過ぎていくことにため息をつく度、早く帰ってきてと切なく願った。
蓮さんが帰ってくれば、きっと心は軽くなり、すべて無駄な不安だったと笑い飛ばせるはず。
ふたりっきりでタクシーに乗って消えていったことや、まるで恋人のように寄り添っていたことに対して、膨れっ面で文句を言いたい。
そして、悲しかった気持ちをすべて受け止めてほしい。
大丈夫。もうすぐ蓮さんは私の所に帰ってくる……そう信じて待っていたけれど、翌朝、広いベッドにひとりで目覚めて言葉を失う。
すぐにスマホを確認するが何の連絡も届いていなく、気分が一気に落ちていく。
どこにいるのか。誰といるのか。
聞きたいことはたくさんあるのに、電話はおろかメッセージを送る勇気が出ない。
真実を知れば蓮さんを失うことになりそうで、怖くて仕方がないのだ。
気怠さを引きずったまま仕事の支度をして、久しぶりにひとりで家を出た。
不安定な感情を必死に笑顔で隠して仕事に没頭し、何とか午前を乗り越える。
そして、お昼休みに入ってサンドイッチを食べながらスマホを確認した途端、口元が僅かに綻んだ。