若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~

要求を跳ね除けると、渡瀬先輩は涙のたまった目で私を睨みつけてくる。


「一緒にされたくない。私は子供の頃からずっと蓮君を好きだった。彼の両親だって、私をお嫁に欲しいと言ってくれていたし、私も私の両親もずっとそのつもりでいた。たとえ今、蓮君が結婚に興味を持てなくても、いずれ結婚したいと思う時はくる。その時まで待つつもりだった」


蓮さんの両親は渡瀬先輩を息子の嫁に望んでいたと聞いて、私は何も見えていなかったのではと胸が痛くなる。

現副社長である彼のお父さんとはあまり会う機会がないけれど、女将さんは違う。

顔を合わせるたび、心の中で私と渡瀬先輩を比べては物足りないわとため息をついていたかもしれない。

女将さんは優しいし、人として慕ってもいるから、もしそうだったらと考えると申し訳なさと切なさで胸が苦しくなる。

呆然とする私から目を逸らして、渡瀬先輩は悔しそうに続けた。


「けどなぜか、あなたが彼の婚約者になってしまった。彼の隣にいるのは私のはずなのにって納得できなかったわよ。でも蓮君を見てると、お祖父さんに言われて仕方なくだったのが見て取れて、だからもう少し我慢することにした。副社長になる前に、きっと婚約は破棄すると思えたから」


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