若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
間取りは2LDK。部屋のひとつは物置きになっているため、そちらを私が自由に使っていいらしい。
蓮先輩と一緒に暮らすだなんて困ると気恥ずかしく思っていたが、意識しているのは自分だけだと気付かされれば、途端馬鹿らしく思えてくる。
同棲ではなくルームシェア、恋人ではなくただの同居人でしかないのだから。
追い出された手前、このまま実家に戻るのも気まずいしで、私も覚悟を決める。
「わかりました。どうせなら、同居人として目一杯楽しくやりましょう!」
意地になりながら力強く宣言して握手を求めると、蓮さんは困ったような笑みを浮かべてから、私としっかり握手をした。
そんな感じで始まった彼との同居生活。
小さく鳴り響く目覚まし時計のアラームを止めて、むくりと布団から起き上がる。
欠伸をしつつ腕を伸ばしていると、廊下からバタンと扉が閉まる音がした。
蓮さんの気配に反射的に鼓動を高鳴らせて、私はゆっくりと立ち上がった。
「おはようございます」
静かにリビングを覗き込んで見つけた姿に声をかけ、ゆるりとこちらに向けられた整った顔に微笑みかける。