若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
「蓮、この前、無断外泊したでしょ? それで最初は里咲さんに嫌われてしまったらどうしようって、落ち着かない様子だったの」
「外泊のこと、璃子さんも知っていらっしゃったんですか?」
驚いて思わず声が大きくなった私に、璃子さんも僅かに目を大きくさせる。
「えぇ。朝、執務室のドアを開けたら蓮が寝てるんだもの。びっくりしたわ。起こしたら、里咲ちゃんになんの連絡も入れず、今まで爆睡してたって言うじゃない。だから、嫌われちゃったかもねって、ついからかってしまって」
蓮さんは私に嘘をついていなかった。
同時に渡瀬先輩の、ひと晩中一緒にいたというのが嘘となる。
とは言え、蓮さんが渡瀬先輩のそばでネクタイを外したのは間違いないはずで、なにが本当でなにが嘘なのか頭が混乱し始める。
「そうしたら、不安で顔色悪くなっちゃうし、かと思えば時々ぼんやりしてるしで、みんな様子がおかしいって不思議がってたわよ。蓮が冷静さを失ってるのを初めて見たわ。それって里咲ちゃんが大切だからだと思うけど」
あまり感情を露わにしないから、冷静さを欠いている状態の彼を想像するのは難しいけれど、それが本当だとしたら正直嬉しい。