若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~

そっと蓮さんが両手で私の手を掴み取った。

温かな手に包み込まれて、気持ちが落ち着いていくのを感じながら、私は黙って蓮さんの言葉に耳を傾け続けた。


「それから会社に向かって、後は話した通りだ。落ちたネクタイを拾うのも面倒で、捨てた気でそのままにしてしまったけど、間違いだった。辛い想いをさせてすまない。どうか許してもらいたい」


私こそ、信じきれていなかった自分が恥ずかしく思えた。

ゆるりと首を横に振ってから、ずっと気になっていたことを、真剣に問いかけた。


「私と渡瀬先輩、どちらが大切ですか?」

「里咲」

「私と結婚することになっても後悔しませんか?」

「しない」


聞いたこちらが戸惑ってしまうくらいの即答に、ほんの少し笑ってしまう。

すると今度は蓮さんが真面目な顔で問い返してきた。


「逆に聞きたい。里咲こそ、俺の婚約者になって後悔してないか」


まさか自分がその様な質問をされると思わず、しばし呆気に取られてしまった。


「偽りならばと、俺の婚約者になることを了承したんだろ? このままだと、好きでもない俺と結婚することになるぞ? 嫌ならここでハッキリ言ってくれ」

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