若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
「俺は卒業後しばらくしてから、里咲への想いに気づいた。何もかも遅いって、自分自身に怒りすら覚えたよ。諦めきれなくて連絡してみようとしたら、なぜか里咲の番号が消えていて、あの時は落ち込んだ」
違うとは思いながらも、渡瀬先輩の顔が頭に浮かぶ。
私の連絡先が蓮さんのスマホに登録されていると知ったら、こっそり消去するんじゃないかとどうしても疑ってしまった。
「それならと、富谷旅館に宿泊して偶然会える奇跡を願ってみたりしたけど、結局里咲には会えなくて、がっかりして帰宅したり」
「泊まりに来てくれていたんですか」と声をあげると、蓮さんが切なげに頷く。
その時会えていたら良かったのにと、起こらなかった偶然すら恨めしくて仕方がない。
「実は大学卒業後から渡瀬との縁談話がたびたび持ち上がるようになって、その都度、結婚する気はまったく無い、独身で良いって断ってたんだけど、親からは副社長になる前には相手を決めなさいって前々から言われていたこともあって、他の縁談話も含めて断りづらくなってしまっていて」
以前渡瀬先輩が、蓮さんの副社長就任に対して渋い顔をしていたのを思い出す。