若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
蓮さんが副社長になる前に身を固めるよう求められていたのを知っていたからこそ、もう時間がないと焦りを感じていたのかもしれない。
色々と腑に落ちてしまって、つい乾いた笑い声が出てしまう。
「そんな時、祖父さんから富谷旅館のお嬢さんはどうだって言われて、その話に俺は秒で飛びついてしまった。家族みんな、俺の豹変ぶりに唖然としていたよ」
「渡瀬先輩ではなく私とのお見合いを選んだことに、女将さんたちが難色を示したりは?」
「いいや、まったく。逆に切実な感じで応援されたよ、俺が縁談に乗り気なのは最初で最後だろうからって。この話を逃したらもう結婚する気すら起きないんじゃって心配してたし」
すっぱりと否定され安堵した私の額に、蓮さんが軽く口づけを落としてきた。
視線を向ければ、目が合って、自然と互いの顔に笑みが広がる。
「それでお見合いの席で里咲に会えて思った。久々に見た笑顔に胸が熱くなったし、声とか空気感とか心地良くて落ち着くし、やっぱりこの人しかいないって思った。最初から俺の選択肢には里咲しかいなかったんだ」