若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
愛しさをぶつけるように、蓮さんへぎゅっと抱きつけば、私の体は軽々と抱え上げられる。
向かう先に待っている甘美な時間に胸を高鳴らせて、私は蓮さんと幸せいっぱいのキスをした。
月が替わり、私はヤツシロ本店で働き出した。
女将さんに直接仕事を教えてもらいながら、お客様には蓮さんの婚約者として顔を覚えてもらいつつ、充実した毎日を送っている。
「だからさ、すごい怖かったんだって」
閉店間際の店を訪ねてきてくれたのは溝田先輩で、最中を買うと同時に昨日の話をし始めた。
「昨日のことは聞きましたけど……そんなにですか?」
顔を強張らせながら確認すると、溝田先輩はこくこくと頷き返してきた。
昨日蓮さんが溝田先輩と食事をしている所に、渡瀬先輩がやってきたらしいのだ。
そこで、ネクタイを渡した時のような私に対する嫌がらせはもう二度とするなと釘を刺しておいたと、蓮さんから聞いている。
あくまでさらっとした口調だったため、注意してくれたのだなとその程度に受け止めていたのだが、どうやら違うらしい。