若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
駐車場に停めてある蓮さんの車の助手席に乗り込み、忙しかったなと今日一日を振り返りつつ、口元を抑えながらあくびをする。
途中で蓮さんと目が合い、大口を開けているのを見られてしまったと、照れ隠しで苦笑いした。
「お疲れさま。慣れないから大変だろ」
「うん。でもとっても楽しい。聞いて、来週、工場に連れて行ってもらえることになったの。和菓子も作らせてもらえるって」
「それ、俺も聞いた。一緒に行きたいから仕事の調整してって姉貴に言ったら睨まれたけど、絶対一緒に行くから」
本気の蓮さんに「楽しみにしてますね」と再び苦笑いしてから、素直な思いを口にする。
「お店のことだけじゃなくて、和菓子のこととかヤツシロの歴史とか、いろいろ学んでいると蓮さんが見ている世界に少しずつ近づいていけてる気がして、私とって嬉しいです」
蓮さんは私を優しく見つめ返して、「俺の見てる世界って、里咲一色だぞ」と笑う。
エンジンをかけて、ハンドルに手をかけたが、何か迷うような仕草をした後、その手を後部座席へ伸ばした。
「これ、俺からのプレゼントだ」