若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
そう言って、蓮さんは私の膝の上に小さな紙袋を置いた。
紙袋の中には何やら細長い箱がある。
「私にプレゼント? 見てもいい?」
彼が頷いてくれるのを待ってから、綺麗に包装された縦長の箱を取り出し、ドキドキしながら包み紙を外していく。
現れた箱を開いて、「わぁ」と笑顔になる。
中身は高級ボールペンで、かつて私が贈ったそれに色味が似ているように思えた。
「良かったら、使って欲しい」
「蓮さんありがとう! 私も大切に使わせてもらうね」
新たな門出をこのような形で祝ってもらえて胸がいっぱいになっていると、続けて蓮さんが私に何かを差し出してきた。
「それからもうひとつある」
手のひらの上には四角い箱。
彼によって開けられたその中にはダイヤモンドの指輪が入っていて、私は目を大きくしたまま、呼吸も忘れる。
「実は買ったのは、お見合いしてすぐ後だったんだけど、なかなか渡せずにいたんだ。遅くなってごめん」
「……こ、これってもしかして、婚約指輪?」
思わず確認してしまった私に、蓮さんは微笑みで答えた。
「里咲、愛してる。結婚しよう、できるだけ早く」
夢みたいだけど、夢じゃない。
確かな未来への一歩に、嬉しくて涙で視界が滲み出す。
「幸せにする」
「はい。一緒に、幸せになりましょう」
声を詰まらせながら返事をすれば、どちらからともなくゆっくり顔が近づく。
幸せを噛み締めながら交わした誓いのキスは、どこまでも柔らかで、とびきり甘い味がした。
<END>


