若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
蓮さんは「負担にならないか?」と私に確認する。
「もちろん」と頷き返すと、彼は顎に手を当て、数秒黙り込んだ。
「そうか。それなら、ハウスキーパーに払っているのと同じ分の賃金を払おう」
蓮さんから飛び出した提案に私は驚いて目を大きくする。
「清掃のプロではないし、同額なんてもらえません。それに、そもそもお金は要りません」
「いやでも」
「私はお客様ではないんですよ。家賃も光熱費も何も払っていないんですから、ここで暮らす一員として掃除くらい任せてください」
共に暮らし始めるにあたって、家賃や光熱費を半分持ちますと申し出たのだが、蓮さんに「必要ない」とその場であっさり却下されてしまったのだ。
彼が私に求めたのは「ただこの家に住んでくれたらそれで良い」とだけ。
そんなこともあって、負担なく住んでいることを申し訳なく感じていた。
食事は一緒にしたがらないため、他に出来ることと言ったら掃除くらいだ。
これも拒否されたら、もう一度家賃や光熱費の折半をお願いしようかと考えていると、蓮さんと改めて視線が繋がる。
「……わかった、それなら。月に一回、外で食事をするというのでどうだろう」