若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
高梨君からの問いかけで、昼間見た蓮さんと渡瀬先輩の姿が改めて脳裏に呼び起こされる。
とは言え、何があったかなんて言いたくなくて口を閉ざし、視線も逸らすと、高梨君が私の手をぎゅっと掴んだ。
「婚約者様と、合わないんじゃないですか? このまま結婚しても、里咲さんは幸せになれないと思います」
驚き見れば真剣な瞳とぶつかり、いくら焦がれても手が届かない蓮さんとの結婚という現実が心に重くのし掛かる。
「里咲さん、もう婚約解消しちゃいなよ」
じっと見つめてくる眼差しから本気を感じ取れば、怖くて落ち着かなくなる。
「高梨君、何言ってるのよ」とおどけつつ、大きな岩から降りて逃げようとしたが、彼は手を離してくれなかった。
「真面目に言ってます。これからは俺がずっとあなたのそばに……」
「残念だけど、婚約破棄の予定はない。この先、里咲のそばにいるのも俺だ」
冷徹に響いた声と共に、横から高梨君の手が掴まれる。
「蓮さん」
なぜ蓮さんがここにという驚きに包まれていると、彼が婚約者だと気付いたらしい高梨君が私から手を離した。
そのまま私は蓮さんの元へと引き寄せられた。