若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
「里咲さんがあなたのことでいつも苦しそうにしています。俺ならそんな顔はさせません。だからもう彼女を解放してあげてください」
「苦しそうに?」
ちらりと見られて、気まずさが広がる。
何か言いたいのに、すっかり動揺し、うまく言葉が出てこない。
「ちゃんと話し合う必要がありそうだ。失礼する」
今度は蓮さんが私の手を掴み、そのまま歩き出す。
途中で「このまま帰れるか?」とだけ確認され、それになんとか「はい」と頷き返したけれど、そこから私たちは無言となった。
駐車場に停まっている蓮さんの車の助手席に乗り込み、私は何度も運転席にいる彼に目を向ける。
しかし、冷たい眼差しは前を向いたままで、ほんの少しも私を見ようとしない。
いつの日か解消するとわかっていたはずなのに、このまま終わってしまうかもと思えば、まだもう少し蓮さんのそばにいたいと叫びたくなる。
しかし、そう駄々をこねてしまったら蓮さんは話が違うと呆れるだろう。
変にこじれたまま別れるのも嫌だ。
最後の一瞬まで、私は冷静さを保っていられるだろうか。
小さくため息をつき視線を上げると、蓮さんとやっと目があった。