若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
置いていかれてしまったと自分の浅はかな発言に気落ちし俯いていると、助手席のドアが勢いよく開かれた。
ハッとして顔を上げると同時に手を掴まれて、そのまま蓮さんに引っ張られた。
車を降りると、少し手荒に手を引かれて歩き出す。
突然の彼の行動、そして怒っているようにも見える横顔に動揺が止まらず、私は話しかけられないまま彼と共に歩き続ける。
そのままマンションのエレベーターの前へ。
やっと立ち止まるものの、話しかけるよりも先にエレベーターの扉が開き、しかも中に女性がいたため口を閉じた。
マンションの住民だろうその人が降りると同時に私は蓮さんにエレベーターの中へと押し込まれた。
もつれあうように乗り込んだ足音に、蓮さんが少し力を込めて階数のボタンを押した音。
変な空気を感じたのか、エレベーターを降りた先でこちらを不思議そうに振り返った女性の姿は、蓮さんに抱き寄せられたことで見えなくなる。
「蓮さん」
状況が理解できず顔をあげると、唇に柔らかなものが押しつけられた。
エレベーターが上昇し始めてからようやく私は、蓮さんにキスされているのだと理解する。