若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
「……蓮さんが大切なのは、渡瀬先輩ですよね? 最終的には彼女と結婚するつもりでいるのなら、私との偽りの関係などもう解消してしまってもいいんじゃないかなって」
案の定、蓮さんは唖然とした。
「なんで今更そんなことを言い出すんだ」と言われるだろうと身構えたが、彼から飛び出したのは意外な言葉だった。
「俺が渡瀬を大切に思ってるだなんて、どうしてそんな考えになるんだ」
想像と違う方向に呆れられてしまったため、今度は私が蓮さんを見つめたままぽかんと口を開けてしまう。
「だ、だって、よくふたりで食事に行っているみたいだから……私は……この一年、一度も蓮さんと食事に行ってません。家にいても別だったりするし」
徐々に文句になってしまったことに気づいて、気まずくて視線を逸らした。
しかし、一度口にしてしまったためか、思いの丈は止まらない。
「本当に今日は、お店で蓮さんと会えたら声をかけるつもりでいました。でもかけられなかったのは、渡瀬先輩と一緒だったからです。ふたりの仲の良い姿を見ているのが苦しくなってしまって」
「……確かに、渡瀬とふたりだった時間もあったけど」