若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~

短いため息をつかれ、さらに気まずさが募り、ちょっとばかりやけになる。


「わかってます。ただの嫉妬です。こういうの煩わしいでしょ? だからもう婚約の解消を……」

「里咲」


その先の言葉は紡げなかった。

キツく抱きしめられ、さらに私の下の名前で、彼が甘く呼びかけたからだ。


「誤解しているようだから言わせてくれ。俺と渡瀬はただの幼馴染だ」

「私にはそんな風に見えません」

「俺はあいつに特別な感情を持ってない」


さっきのやり取りと同じように、今度は私が納得できない顔をする。


「確かに食事は頻繁にしているかもしれない。けれど、誘ったり誘われたりするのは溝田だけだ。溝田と食事すると時々渡瀬が付いてくるくらいの認識しか俺にはなかった。渡瀬とふたりっきりで食事することはない」


蓮さんと溝田先輩は昔からとても仲がいい。

そのふたりに、時々渡瀬先輩が混ざって楽しそうにしているといった印象でもあったため、なんとなく蓮さんの言い分に納得させられてしまう。

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