若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~

千秋とは渡瀬先輩のことだ。

最後に「大丈夫か?」と気遣いの言葉をかけた溝田先輩の心配そうな声に、昨日の自分の態度を思い返して胸が痛くなる。

スマホを持つ蓮さんの隣りに並び立ち、そっと話しかけた。


「溝田先輩、富谷です。昨日は誘ってくれたのにあんな態度をとってしまってすみませんでした」

「あっ、その声は富谷。俺はまったく気にしてないから大丈夫。その感じだともう和解できたのかな。ほっとしたよ。今度三人で食事しようぜ。何か蓮のことで相談事があるならふたりっきりでも……」


溝田先輩の言葉を遮るように蓮さんはぷつりと通話を切り、何事もなかったようにスマホをビジネスバッグの中へ。


「い、良いんですか?」

「店を教えてくれたことへの感謝の言葉はすでに送ってあるから構わない。準備が出来たなら行こうか」


蓮さんに薄く微笑みかけられ、私は苦笑いで頷いた。

富谷旅館に送ってもらうのはもちろんのこと、朝一緒に家を出るのも初めてで胸の高鳴りが止まらない。

車に乗り込み、走り出したところで、今なら聞けるかもとほんの少し勇気を出して問いかけた。

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