若旦那様の溺愛は、焦れったくて、時々激しい~お見合いから始まる独占契約~
何気ない様子で渡瀬先輩が蓮さんに繰り返し触れ、楽しそうに笑っては蓮さんにぴたりともたれかかったりする。
その一つひとつに嫌な気持ちになり、不満となって積もっていく。
続けて彼らは二台目へと移動する。
先ほどと同じように見送る様子を見つめていると、不意に、渡瀬先輩の視線がこちらに向き、ドキリと鼓動が高鳴る。
それはほんの一瞬の出来事で、すぐに渡瀬先輩はタクシーに乗り込んだ人々とにこやかに話し始めたため、私に気が付いたかどうかは確信が持てなかった。
二台目を見送った後、蓮さんは三台目の前へ進むと、残っている人々に頭を下げてそのままタクシーに乗り込んだ。
自分の車で移動していないということは、もしかしたらアルコールが入っているのかなと想像し、車の窓の向こうに見える蓮さんをじっと見つめていると、渡瀬先輩が素早く彼の隣に乗り込んだ。
「えっ」と思わず呟き、足が動きかけたが、バスが到着し視界が遮られる。
バスに乗り込むふたりに手を振りつつも、蓮さんのことが気になって仕方がない。