廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「今宵はもう一つ、皆に嬉しい知らせがある。我が国の武力の要、大英雄ダリオン・エスカーダ公が婚約をすることになった!」

すると、会場がどよめき、全員の視線がこちらに集中する。
ダリオンを見て、その隣の子どもを見て、またダリオンを見て……全員がそれを繰り返している。
まさか、こんな子供と婚約を!?という声が聞こえてきそうだ。
国王陛下は一つ手を打ってどよめきを制し、前に置かれたグラスを、勢い良く目の前に掲げた。

「エスカーダ公の隣にいる者がその婚約者、ルキア・フェルナンシアである。知っていると思うが、フェルナンシアの第三王女だった者だ。フェルナンシアはレグナントに吸収されたが、この二人を架け橋として、永遠に平和が続くことを願う。それでは、素晴らしき出会いと運命に感謝し、寄り一層のレグナントの繁栄を祈り……乾杯!」

陛下の乾杯の音頭で、周りの貴族たちも慌ててグラスを掲げた。
まだ驚いた顔をしている者もいたけど、大方は運ばれてくる料理に興味をひかれているようだ。
しかし、中には敵意剥き出しの視線を向けてくる者もいる。
おばあ様の後釜を狙っていた者たちか、ダリオンの妻の座が欲しかった令嬢たちか。
視線の出所を探るのは容易い。だけど、今宵私にはもっと重要なことがあった。
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