廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「足を……どけて貰えますか?」

「え?なぁに?聞こえないわねぇ?」

ユーディリアは楽しそうに笑って、足先に遠慮なく体重をかけた。
すると、鈍い痛みが走り、ゴリゴリとあり得ない音が響いた。
靴を履いているとはいえ、もともと弱い足の指。
しかも、子どもの骨なら簡単に砕けてしまうかもしれない。
それなのに、ユーディリアは愉悦の笑みを浮かべたままだ。

「あらぁ?どこか痛いの?お顔が真っ青よ?」

「……」

「ふふっ。止めてあげてもいいのよ。そうねぇ、床に頭をつけて謝れば許してあげなくもないわよ?」

ユーディリアは私を覗き込んだ。
きっと彼女は、これだけ脅せば、子どもなんてすぐに泣いて謝るに違いない。
と、考えているはずだ。
だけど、私は……この人にだけは絶対謝りたくなかった。
ユーディリアに屈することによって、ダリオンやおばあ様の顔に泥を塗ることになるかもしれない。
曲がりなりにも、エスカーダ公爵家当主、ダリオンの婚約者が、アラス公爵令嬢に脅されて泣いて頭を下げるなんて、あってはならないのだ。
< 112 / 228 >

この作品をシェア

pagetop