廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「さぁ?どうするの?」

ユーディリアはさらに体重をかけてくる。
もう私の足先には感覚がなく、どうなっているのかも良くわからない。
だけど、頭は冷静だ。
辛さも痛さも惨めさも、一切顔に出すものか。
培ってきた女優魂にかけて、ユーディリアには屈しない。

「謝りません。私はあなたに何も悪いことはしていませんから」

毅然として言うと、ユーディリアは真っ赤になった。
そして、渾身の力を込めて私の足先を踏んだのである。
……ミシミシと何かが砕ける音がした。
激しい痛みが全身を駆け抜け、うっかり叫びそうになった私は、慌てて口を押さえた。

「……っ……」

幸い、小さい呻き声は、誰にも聞こえていなかった。
良かった、弱みなんて見せたくないから。
安心したのも束の間、怒り狂ったユーディリアが今度は私の肩に指を食い込ませて来た。

「生意気な小娘!もっと痛い目に……」

「おいっ!何事だ!」

広間に響き渡る声は、聞き覚えのあるものだった。
ユーディリアや令嬢たちは一斉に階段の上を見ると、蜘蛛の子を散らすように慌てて端に避けた。

「これは、エスカーダ公」

頭を下げるユーディリアの向こうに、ダリオンが立っている。
彼はいつものように無表情であったけど、何かが少し違う気がした。
囲まれていた壁がなくなって、私は階段でポツンと一人、ダリオンの前に残された。
端に避けなければと思うけれど、足が上手く動かない。
方向転換くらいは出来るかもしれないけど、ふらついて転げても不味いことになるし……どうしたら……。
一人で葛藤していると、ダリオンが言った。
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