廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「今言わずにいつ言うのだ。挑発には乗るな。乗るなら周囲の状況を的確に判断し、安全な退路を確認してからだ。戦の鉄則だぞ!」

「は、はい!全く仰る通りです!あの時は、その……エスカーダ家が舐められると思い、つい意地を張りまして……すみません」

私は本心を語った。
叱られるのは、もう仕方ない。

「謝るな。その心意気は高く評価する。私が気に入らないのは、お前がケガをしたことだ」

「……ケガ……?」

「意地を張るのも上手くやれ……ということだ」

ダリオンはその透き通る青い瞳で、私を覗き込んだ。
出会った時「見るな」と拒否されたその美しい瞳には、しっかりと私の姿が映っている。

「……気をつけます」

「そうしろ」

ダリオンは私の頭を二度、ポンポンと叩いた。
大きな手で軽く優しく。
気のせいかもしれないけど、今夜この短い時間で、ダリオンとの仲は良好になったように思う。
褒められた行動じゃないけど、今回のことで、何かがダリオンの心証を良くしたみたい。
この調子で、おばあ様とも仲良くなってくれれば……ん、おばあ様……?

「あっ!あのっ!おばあ様は!?ちゃんと公爵邸に帰れたのでしょうか?」

「帰ったと連絡があった」

「そうですか!良かった……」

「相当頭に来ているようだがな……まぁそれは、私も同じだが」

良かった……じゃない。
どうしよう。
きっとおばあ様、お使いもろくに出来ない上に、面倒事を背負いこんで!と、お怒りに違いないわ。
ダリオンの言葉に、背筋にプルルと震えが走った。
が、しかし。
その言葉の真の意味を知るのは、それから間もなくのことだったのである。
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