廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
3、座長アレスト

劇場エントランスでセドリックと別れ、私たちは一階のロビーから立ち入り禁止と書かれた裏手口へと回る。
そこは人気がなく、表の喧騒とは真逆の別世界。
長い廊下の両サイドにはいくつか部屋があり、突き当たりには豪華な扉があった。

「どうぞ、こちらでございます」

支配人が突き当たりの扉を開けると、大柄な男性がソファーに座っていた。
年は二十代後半から三十代半ばといったところ。
焦げ茶色の長い髪を横に束ね、髪と同じ色の瞳で、私たちを順番に見る。
その視線には、人間の心の底を見透かすような不思議な威圧感があった。

「アレスト様。こちらがダリオン・エスカーダ公爵とカトレア・エスカーダ様、それからルキア様でございます」

「ありがとう」

アレストと呼ばれた男はさっと立ち上がった。
座っている時も大きいと思ったけど、立ち上がるとさらに大きい。ダリオンと比較しても負けないくらいの迫力である。
支配人が空気を読んでそっと立ち去ると、アレストが言った。

「エスカーダ家の皆様、ご足労頂きありがとうございます。私はアレスト・マクミラン。アルカディア劇団の座長です。立ち話もなんですから、取りあえず掛けて話しませんか?」

アレストは優雅にソファーを手で示す。
促されるまま腰掛けると、おばあ様が不思議そうな声を上げた。
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