廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「あら、先客がいたのかしら?」

おばあ様の視線の先には、応接のテーブルに置かれた、二客のティーカップがあった。
一つはアレストの前に、もう一つはおばあ様が座った場所の前に。
半分ほどお茶が残っているので、ついさっきまで誰かがいたと考えられる。

「おっと、これは失礼を。直前まで贔屓にして頂いている方と会談をしておりまして。今、下げましょう」

アレストはさっと立ち上がり、手際よくティーセットを片付けると、改めてこちらを見た。

「大英雄ダリオン様。レグナントの高貴なる華、カトレア様。それと、ルキアお嬢様。お会いできて光栄です」

「会うためだけに呼んだのか?」

ダリオンが言った。
大した用もないのに呼ぶな、そう言いたげな感じである。

「ははっ、すみません。どうしても世界一と言われる大英雄にお会いしたくて。本日は芝居好きで有名なカトレア様もご一緒だと聞き、この機会は逃せないと支配人に無理を言いました」

「うちの大英雄は小難しいのよ。許して頂戴。私は会えて嬉しいと思っているわ。丁度お芝居の感想を言いたかったところだから」

「ほう!それはありがたい!で、どうでしたか?」

「とても素晴らしかったわ!実話のように生々しくて切なくて……それでいて美しく輝く宝物のような」
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